北信濃の小さなワイナリーを久しぶりに訪問し、とてもがっかりして帰ってきた。




初めて訪れたのは5〜6年前になるだろうか。
ドライブ中に小さな看板を見つけて何気なく立ち寄ったのだが、まさかこんなところにこんな素敵なワイナリーがあるなんて、と心地よい驚きに満たされた出会いだった。
自前のブドウ畑で栽培したブドウを使ってまじめにワインを作っている姿勢が感じ取られたし、従業員の誰もがそこで働くことを楽しんでいる雰囲気が感じられた。何よりもワインそのものがおいしくて、回数は少なかったけれど近くを通るたびに楽しみに通ったものだ。
努力が認められて数年前にとある賞を受賞し、世に広く知られるようになったようだ。遠くてなかなか行けなかったけれど、小さなファンとしては心から拍手を送ったものだ。




しかし・・・久しぶりに訪れて、心底がっかりして帰ってきた。
雰囲気がとても殺伐としていた。
テイスティング用のボトルはデンと置かれていたが、それだけ。テイスティングしている私たちに何の声もかけない。勝手にやれば?という雰囲気だ。
それどころか・・・あるお客さんが原料について質問していたようだが「さぁ?(何のこと?)」という答えしか返ってこない。
これだけワイン人口が増えたというのに・・・このワイナリーに期待を持ってやってきているはずのに・・・(でなければ原料に関する質問などするはずがない)
そのお客さんはさぞかしがっかりして帰って行ったことだろう。




しかも!3000円程度のワインはテイスティングが有料!
(私たちがテイスティングをしたのは1,500円クラスのもの)
さらに! テイスティング=試飲(ごっくり飲み込む)ではないのだから基本的には口に含んだワインは何らかの容器に受けるものだが、その容器が用意されていない!(以前はきちんと用意されていた)
仕方なく用意されていた紙コップに受け、それをそのままにしておいたら、後で従業員が大きな声で叫んでいた。
「まぁ、こんなことがしてある、誰がやったのかしら!」
よしんば目の前の客がやったことに気づいていなかったとしよう。
だとすれば、接客の基本に問題があるのではないか。つまり、客をまったく見ていない。
もし目の前の客の仕業とわかっていたのだとすれば、最低だ。




肝心の味はというと、
あれ? この程度のもの?
まじめな姿勢が味からも消えていた。




初めて訪れたときも、2回目に訪れたときも、ワイン談義に花を咲かせてくださったお店の方の姿が見えなかった。忙しくなって試飲ルームに姿を見せることはなくなってしまったのかもしれないが・・・あのままではダメになってしまうだろう。
世間に注目されるようになって天狗になってしまったのか(少なくとも従業員の態度にはそうした様子がありありと感じられた)、それとも肝心の現場がそこまで変質してしまったことに気づいていらっしゃらないのか・・・
5年後にはどうなっているのだろう。苦い思いを胸にワイナリーを後にした。もちろん、何も購入せずに。